天体望遠鏡(てんたいぼうえんきょう)とは、遠方にある天体を観察するための装置である。
光学的な装置で肉眼に見えるようにするものは「光学望遠鏡」と呼ばれるほか、「電波望遠鏡」「赤外線望遠鏡」など、可視光線外の電磁波を観測対象にしたものもある。
光学望遠鏡
光学望遠鏡は、その光学系の原理によって大きく反射式・屈折式・カタディオプトリック式の3種類に分類される。また望遠鏡を載せる架台の違いによって、赤道儀式と経緯台式に分かれる。
屈折望遠鏡
屈折望遠鏡はレンズを組み合わせた望遠鏡である。レンズによって分散が起こるため色収差を生じる。ほとんどの場合、色収差を抑えるために複数のレンズを組み合わせて使用する。通常は可視光のうちC線(赤、656.27nm)とF線(青、486.13nm)の2つの波長に対して球面収差とコマ収差を取り除いたものをアクロマート、これらにg線(紫、435.83nm)も加えた3つの波長に対して球面収差とコマ収差を取り除いたものをアポクロマートと呼ぶ。アクロマートとアポクロマートの中間の特性を持つセミアポクロマートもある。アポクロマートのレンズには人工蛍石レンズなどの低分散性の特殊な材料が使用されるが、これらの素材は大型の単結晶レンズを製作しにくい為、非常に高価な物となっている。また近年では環境保護の観点から鉛や砒素を使用しない高性能光学ガラス(エコガラス)の開発も行なわれている。
ガリレオ式
歴史上最初に作られた望遠鏡は屈折式で、凸レンズを対物レンズに、凹レンズを接眼レンズとして使用したものだった。この望遠鏡の発明者は明らかではないが、1608年にオランダで特許申請がされている。このため、この方式の望遠鏡はオランダ式望遠鏡とも呼ばれる。現在ではこの方式の望遠鏡で多くの発見をしたガリレオ・ガリレイにちなんでガリレオ式望遠鏡と主に呼ばれる。現代の屈折望遠鏡は後述するケプラー式望遠鏡が主流だが、ガリレオ式は高倍率を出しにくい反面、低コストで正立像を得られることからオペラグラスなどに用いられている。一般にガリレオ式は性能面でケプラー式に劣る印象があるが、ガリレオ式光学系を採用した双眼鏡の中には旧ソ連製のワイドビノなど評価の高い製品もある。
ケプラー式
ケプラー式望遠鏡はヨハネス・ケプラーが考案した屈折望遠鏡で、対物レンズ、接眼レンズの両方に凸レンズを用いるものである。像が倒立になる代わりに高い倍率を得られるという利点があった。このため反射望遠鏡の出現以前には天体観測に広く使われた。反面、鏡筒が長くなるという弱点もある。ケプラー本人は実際に望遠鏡は製作していない。
現在では光路の途中にプリズムや鏡を加えて正立像を見られるようにしたものもある。特に地上用(野外観察や射撃用)の望遠鏡はこの形式であり、スポッティングスコープ(w:Spotting scope)やフィールドスコープと呼ばれる。
天体観測の目的では通常は正立プリズムなどを入れずに倒立像のままで用いられる。現代では大型のアクロマートレンズが単体で市販されている為、口径20cm程度の望遠鏡を自作する人もいる。
反射望遠鏡
反射望遠鏡は凹面鏡などの反射鏡を組み合わせて遠方の像を拡大する望遠鏡である。レンズを用いないため色収差を生じず、また大口径の望遠鏡を作ることが可能という利点があるが、視界の辺縁では像が尾を引くコマ収差を生じる。また、鏡の温度が外気温と異なっている場合には、望遠鏡内部に空気の対流が発生し、像が揺れることがある。これを、筒内気流という。筒内気流が発生した場合には、鏡が外気温になじむまで待つ。また、鏡にファンで風を当て鏡の温度を外気温になじませる望遠鏡もある。カセグレン式望遠鏡などのように光が望遠鏡内部を往復する形式のものは、筒内気流の影響はニュートン式と比べさらに大きくなる。